アハ体験でおなじみの写真の一部が変わっていく映像。あれがおもしろいのは、「あ、わかった!」という達成感ではないですか?
同時にあんなに変化しているのになんで気付かなかったんだろうという点。

私たちにとっての視覚情報とは

自分が思っている以上にものを見ていない実験

(実験者である)Aさんが、(実験を知らされていない)Bさんに道を尋ねます。途中、AさんとBさんの間に大きな板を持った人々が割って入ります。大きな板で視界が遮られている間に、道を尋ねているAさんが大きな板をもった人のひとり(Cさん)と入れ替わります。その後、入れかわったCさんがBさんに道を尋ね続けると、多くの人はCさんに代わったことに気付かないそうです。

一方、一瞬で多くのものを見るという事実

私たちの目はほんの一瞬、0.15秒という短時間で見たものを区別する力も持っています。例えば自然の画像を見せた時、そこに動物が含まれているか、その種類、位置などがかなり正確で高速に判断ができ、これを超高速カテゴリ判断というそうです。

私たちは多くの情報をとりこみ、結局捨ててしまう

ふたつの例は相反することを言っているようですが、どちらも事実です。
視覚情報で多くの情報が得られるものの、それはカテゴリ分類に長けていて(自分の知っていることとのリンク)、重要でない情報とみなされると短期間で記憶から抜け落ちてしまい、自分の中に残らないらしいのです。

私たちは思っているほど外の世界を見ていないということと、よく見えていないと思っていても実はかなりの情報を抽出しているんですね!

まとめ

上記にあげたものは視覚的体験の話です。
多くの情報を抽出したのち、いかに記憶にとどめさせるかがポイントになってきます。脳がカテゴリ分類する際に「これは重要だぞ」「○○に似ているな」「これは好き・怖い・びっくりした」と脳にひっかかる工夫が必要で、それがないと「漠然とした情報」として捨てられてしまいます。
多くの視覚情報は受け取りやすいのですから、情報発信に視覚情報を使う時は「これは重要です」「○○のようなものです」「心地よい見た目」を意識して視覚情報を作っていきたいですね。

参考文献 認知科学への招待2 大津 由紀雄 他 2006